オオスズメバチのこと


日本ミツバチを飼っていると必ず突き当たるのが、天敵の一つであるスズメバチの存在です。


僕も昨年、たくさんのオオスズメバチがミツバチの巣箱を襲いに来た時は正直いって怖いと思ったのと「全部殺してしまわないとみつばちが可哀そう」という気持ちがありました。

ただ一つ気になっていたことが僕がニホンミツバチの養蜂をはじめるきっかけになった故久志冨士男さんの存在です。


久志さんはオオスズメバチも飼いならしていました。


今年は久志冨士男さんが伝えきれなかった想いを受け継ぐ形で「生態系の王者」-オオスズメバチという本が出版されました。


他にもオオスズメバチの幼虫を獲ってる罠猟師さんのお話を聞いたりして、オオスズメバチのことを学ぶ年になりました。


いろいろな文献を調べるうちに春に巣箱に来ていたオオスズメバチの女王蜂を2匹タモで捕殺したことを後悔しました。


知れば知るほどオオスズメバチのこともすごく好きになりました。

(オオスズメバチに限らず、僕は基本的には全ての生き物が好きです。)

オオスズメバチは女王蜂1匹で約300から1000匹の働きバチを育てます。


昨年は秋に何もスズメバチの対策をとってなかったので200匹ほどのオオスズメバチをネズミホイホイとペットボトルトラップで捕殺しましたが、女王蜂が育てる数を考えると女王蜂2匹は最大で2000匹に相当することを考えるとひどい事をしてしまったと思ってます。


ここ数年都市型のキイロスズメバチの被害が増えてるそうです。

その一つの原因として挙げられてるのがオオスズメバチの減少です。

ニホンミツバチが生態系の底辺を支えている昆虫だとすれば、オオスズメバチは生態系の頂点を支えている昆虫。

どちらが減っても生態系のバランスは崩れます。


まずオオスズメバチの狩りの対象なのですが大型の昆虫や蜘蛛、敏捷性に欠けるコガネムシ・カミキリムシ・イモムシ・セミ・カマキリなどです。

8月中旬を過ぎるとスズメバチの巣・アシナガバチの巣・ミツバチの巣に対して集団による狩りを行います。

オオスズメバチがいなくなることは、ニホンオオカミが絶滅したことで、シカの獣害が増えたりしたのと似たような事が起きると思われます。

一例としては

本来食べられていた蛾や蝶が大量に発生して彼らが幼虫の時期には大量の幼虫が草木を食い荒らして草食性の昆虫や樹上性の昆虫が住みかを失います。

そのうちそれを餌にする鳥や肉食昆虫が増えてきますがいずれ逆に足りなくなってきます。

すると絶滅危惧の昆虫などを襲い始めたりしますし多様性が失われたり。

スズメバチが天敵のアシナガバチが増えてそれが問題にもなる事も考えられます。

オオスズメバチですがセイヨウミツバチの巣を襲い壊滅させてしまう害虫としても知られています。

日本で販売されている、ハチミツは一般的に二ホンミツバチとセイヨウミツバチの2種類によって作られており、蜜を作る量が多いセイヨウミツバチを飼育する農家が多いです。

しかし、このセイヨウミツバチは、日本に元から生息していた蜂ではなくアフリカ原産の蜜蜂を家畜として改良した種だと言われています。

セイヨウミツバチはポリネーターとしては重要な役割を持っているのですが、日本で定着されると生態系に悪影響がでるので困る蜂でもあります。

ハチミツを作るためには、セイヨウミツバチを放し飼いにしないといけないので、外来種であるセイヨウミツバチは、少しずつ野に放たれています。

分蜂群が逃げることもあるのですが、オオスズメバチはスズメバチに対して対抗策を持たないセイヨウミツバチを優先して食べることにより、「外来種であるセイヨウミツバチ」の土着を防ぐ側面も持っています。

セイヨウミツバチでハチミツを作っている農家にとっては、オオスズメバチは天敵ではありますが、生態系を守るためには、オオスズメバチがセイヨウミツバチを駆除し続けることが重要ともいわれています。

沖縄諸島などオオスズメバチが生息しない、一部の島では野生化したセイヨウミツバチが生態系を壊しているとも聞きます。

参照ページ http://archae88.exblog.jp/19950930/

そして、日本に元から住んでいるニホンミツバチは、オオスズメバチの撃退方法と、危険な場合の逃げるすべを知っているので、オオスズメバチに駆除されすぎることはないようです。

ニホンミツバチを飼育してる人で、むやみにオオスズメバチを捕獲するトラップを仕掛けたり、春に飛来する女王蜂を殺して自慢したりするひとも時々見かけます。


オオスズメバチはキイロスズメバチを食べる事やセイヨウミツバチの土着を防ぐことで間接的にニホンミツバチを守ってくれている存在だと言うことを知ることが大切な事だと思います。

参考文献 「生態系の王者―オオスズメバチ」

ニホンミツバチにもオオスズメバチにも優しい階段式防止器の設計図も公開されてます。

参考リンク

沖縄在住の(西洋ミツバチの)養蜂家の方が書かれた記事です。

(外来種である)西洋みつばちが増えすぎる事と沖縄にはオオスズメバチが住んでない事の問題点が書かれています。


たねとみつばち 土と太陽

たねと日本蜜蜂を守る活動

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