先日、パーマカルチャー実践者であり、
安曇野シャロムヒュッテ・シャンティクティの臼井健二さん主催の勉強会に参加してきました。
定員を超える多くの参加者がありました。
講師は九州和蜂倶楽部主催で、主に巣枠式での養蜂を指導されている立石靖司さん。
カ式巣箱考案者 農文協の「飼うぞ増やすぞみつばちDVD」
ニホンミツバチの岩波金太郎さん
安曇野和蜂倶楽部 鳥居型巣枠考案者の伊藤旭二さん
淡路島で200群のニホンミツバチをお世話している巽 和宏 さん
以下いろいろ話や質問がたくさんあった中で個人的に気になった点を箇条書きでまとめました。(※雑談形式で話が進行したため各講師の方の話が混じってます)
正解も答えもそれぞれで、講師の立石さんもいろんな質問に対しては住んでる地域の環境も違うのだから70%までのことまでしか答えられないといってました。
以下まとめです。
日本みつばちを飼ううえで大切な事
日本みつばちは西洋みつばちに比べ特別な存在だとこだわりすぎる。
西洋みつばちの巣枠式での養蜂に学ぶべき。
みつばちの目線で常に考えると選択に間違いがない。
本やインターネットの情報だけに頼らずよく観察する。
自分の地域の植生を知ることがとても大事
強群を自分で飼って弱小群は自然に還す。
開放系の飼い方、閉鎖系の飼い方
出来るだけキンリョウヘンやメントールに頼らない飼い方
日本みつばちの習性
イレギュラーな行動が多く、本やインターネットに書かれてない事もよくある。
みつばちは学習する。
日本蜜蜂は学習能力が高い。
振動は特にミツバチは嫌う。 (逃去の原因にも)
匂いの強いものも日本みつばちは嫌う。 (新しい木の匂い、メントールの強い匂いなど)
女王蜂は交尾済みと交尾後で見た目が変わる。 交尾後は身体が黒っぽいが交尾前は働き蜂のような模様がある。
女王蜂は逃げる時に身体を小さくして逃げる。
捕獲場所について
古いお墓・民家の側・民家の軒下などは入居しやすい。
子捨てについて
働き蜂の子捨てとオスバチの子捨てでは対処法が異なる。
逃去の前兆として子捨てが起きることがある。 (基本的にミツバチは育児してる子を放棄して逃げる事はない)
巣箱の素材と設置について
巣箱の素材は、水を含みやすくかつ、水の抜けが良い杉が向いている。
乾燥してない木材の匂いは嫌がるので乾燥してない木材で巣箱を作る場合は半年以上野ざらしにした方がよい。
ホルムアルデヒドを多く含む合板やコンパネは使わない事。
使用する場合は低ホルムアルデヒドなど安全性を確認したうえで使用。
巣箱の移動について
一般的には約2km以上移動しないといけないと言われてるが、必ずしもそうとは限らない。
巣箱の周りの景色が変わっただけでみつばちの認識が変わる。
建物を挟んでの移動であれば近い距離であっても蜜蜂は学習する。
巣箱同士の距離は隣同士でも問題ないが作業することを考えると最低1mは離した方が良い。
給餌について
給餌をする時は蜜を採らない事が前提。 砂糖と水が5:5の割合が一般的だが、水分が多いと下痢を起こすので砂糖7:水3の割合が理想。 巣枠式の場合は枠の上にキッチンペーパーに砂糖水を含ませたトレー
もったいないからと言って、蜂蜜を与えるのは厳禁(海外では全面禁止)
理由は病気・スムシ・ウィルスの蔓延に繋がるため。(同じ巣箱から出たハチミツでも他の群が蜜を舐めに来たりするので厳禁)
巣枠式巣箱での飼い方
巣枠式の巣箱の採蜜は2度に分けると蜂が騒がない。
枠の場所はもとあった場所に入れる。 巣枠はその都度キレイに掃除した物に入れ替える(鳥居式)
鳥居式の巣坂の固定は0.35mmの銅線を使用
巣枠の中心から巣枠の中心距離は30mm、32mmから33mm(意見が分かれました) 巣枠式で飼う場合は女王蜂の片方の羽を切って飛べないようにすることで逃去を防ぐ。 (歩いて逃げた例も)
重箱式巣箱での飼い方
盛り巣 7cmまたは9cm。7cmにしてる理由は15cm幅の材を使ってるので、半分にすると7cmくらいになることから。
上に盛る巣には蜂児圏が入らないためキレイな蜜が採れる。
(※蜂児圏が少しでも入ると蜜が濁る)
蜜源植物について
ビービーツリーの花を咲かせるには根切りすると枝がたくさん出て花が付きやすい。
作業は冬(2月)にやると良い。
根きりした後もう一度植え直すつもりで作業。
リン酸系肥料を多めにやると花芽が付きやすい。
ガウラ・ポーチュラカ・ヒメツルソバも良い。
野菜だとトウモロコシ・ブロッコリー。
ビワも寒い時期の蜜源として優秀(蜜が多い)
鳥媒花などは蜜が花であるという目安になる。ヒヨドリがたくさん来る樹の花も良い。
蜜源となる植物はなるべく密生させた方がみつばちが蜜を集めに来やすい。
スムシ対策について
巣箱が複雑な構造(掃除のために引き出し式になってるetc)ほどスムシが発生しやすい。
四方巣門は通気性もよくゴミもたまらず構造が簡単なためスムシ予防にも効果がある。
スムシ対策には納豆菌が良い。 (西洋みつばちの藁の巣箱の養蜂からヒントを得た)
1週間に1度 5% えひめAI散布
納豆菌をなめたり齧ったりしたスムシの幼齢中は死ぬ。
スムシは熱湯消毒では死なない(150度まで耐えられる)のでターボライターで焼くのが良い。
スムシが侵食した場合は巣箱を傾けて観察。 巣にコロニーが出来てる場合は手を巣に入れて取ったほうがいい。
スムシとノゼマ病の症状はよく似てるので間違った報告が多い。
ノゼマ病にはポリフェノールが良い。 ワインなどポリフェノールを含むものを砂糖水に混ぜる。
西洋みつばちの盗蜜対策
場所を変えるのがベスト
無王群
合流させるするといい。(違う群でも匂いが混じる事で敵とみなさない)
合流の仕方は覚えておくと良い技術
合同する時はえひめAIも活用
感想
2013年から始めた日本みつばちの養蜂ですが、まだまだわからない事がたくさんあります。
農業などと同じで、自然農、有機農業も考え方も人それぞれ。 釣りも同じ対象の魚を釣るアプローチの仕方も人それぞれ違います。
発展途上の分野でわからない事がたくさんあるからこそ、難しくもあり面白いとも思います。
同じように、特に日本みつばちは西洋みつばちと比べると養蜂の歴史が、確立されておらずやり方も統一されてなくて、技術も養蜂具も巣箱の考え方も多種多様です。
日本の料理とか農具とか見るとわかるのですが、同じ日本でも地方によって異なります。
厳密にいうと、日本みつばちも地域によって植生や蜜源植物も異なるし、厳密にいうと巣箱の構造も違ってくるので逆に多様性は大事だと思います。
日本みつばち養蜂発祥の地の一つである熊野では人が居なくなると和蜂も居なくなるとも言われてました。野生である反面、日本みつばちは人に懐くとも言われます。
オオカミの方から懐いて家畜となって犬として進化したとも言われてるように、ミツバチもミツバチの方から人間に慣れて家畜化したように思います。
西洋みつばちはたくさんの蜜を効率よく集められるように人間が家畜として改良した種です。
それに対して日本みつばちは野生そのものでありながら、学習して人間にも慣れる性質があるように思います。
林業・農業・里山とも繋がりの深い生き物でもあり、生態系の底辺を支えるいきものでもあるみつばち。
みつばちと人間の付き合い方の中からこれからの私たちの暮らしがどうあるべきか学ぶべきものはたくさんあるように思います。
気候変動や人間の暮らし・植生・生態系も変化しています。
一つの答えに縛られることなく、それぞれの地域の養蜂家の方との交流や対話を通じて、バランスを取りながら方向性を模索していくことが大事だと思います。
改めて僕も自分が住む地域で日本みつばちを飼う人を増やすことで、自然と人間の付き合い方を多くの人が考えるきっかけになる活動は続けていきたいと思いました。
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